多くのスタートアップは創業間もない時期には、人・物・資金・情報といったリソース不足に悩まされることが多々あります。スタートアップやベンチャー企業には、少ないリソースでアイデアを具現化し、製品やサービスを市場に投入することが求められます。そのため多くのベンチャーが開発やリサーチに手一杯となり、営業活動に十分なリソースを割くことが出来ず、自社に適切な営業戦略の立案や積極的な提案営業を展開することが出来ずにいます。
そこで今回はベンチャー企業での営業活動の特徴を紹介した上で、そこで成功するためのコツをご紹介します。また営業代行を活用し、自社のリソースを営業以外の業務に割き、営業活動はプロにアウトソーシングする手法についても解説します。
ベンチャー企業の営業の特徴
スタートアップに求められるのは、大企業の類似商品やサービスに劣ることの無い魅力的な自社商品・サービスの開発と積極的な提案営業です。特に競合商品やサービスが多いマーケットの場合には、単純に商品を紹介したり、プロモーションを行うだけではすぐには成果は上がりません。積極的なアポ取りやヒアリング、顧客との粘り強い信頼関係の構築やスピーディーなやり取りはスタートアップにとって必要不可欠な要素です。
創業直後のスタートアップにとって、大手企業との取引実績を作ることは自社の成長にとって重要な事です。しかし実際には小中規模の企業との取引を積み重ね、地道に実績を積み上げる期間が続くことも多いでしょう。
ベンチャー企業の営業には既存顧客との関係を深め、日常的にフィードバックを受け取り、製品品質の向上に努めるだけでなく、自社の成長や事業規模の拡大を見越し、より大きな顧客を獲得しに行く姿勢が求められます。
ベンチャー企業で営業を行う中で成功するコツ
日本マイクロソフトを経て、東京大学本郷テックガレージでディレクターを務める馬田隆明氏は2015年6月『セールスアニマルになろう スタートアップ初期の営業戦略』というスライドを公開し、話題を呼びました。
このスライドの中で、馬田氏は、特にエンジニア出身社長が立ち上げたベンチャーの多くが、ある「幻想」に陥っていると語っています。
「特に起業したばかりの人の多くが、『良いものを作れば売れるはず。だから営業しなくてもいい』と考えていますが、それは勘違いです。ベンチャー企業にこそ営業力が必要なんです」
引用:「起業直後にこそ営業力は必要」ベンチャー企業の生死を見てきた男が見出した、彼らを救う“蜘蛛の糸”とは http://type.jp/st/feature/786
スタートアップの創業メンバーは「作りたいものを作る」「売りたいものを売る」といった発想に陥ります。しかし、実際には顧客の需要を掘り起こし、ユーザーニーズを自社の商品やサービスのブラッシュアップに活かす姿勢こそが必要なのです。
買い手側が何を求めているのかを正確に把握し、自社の新たな製品と買い手の間に接点を作り、顧客の声を商品開発に反映することで、自社の商品力を着実に高めていくことが可能です。
ユーザーニーズを汲み取るためには、顧客へのヒアリングやテストマーケティングが有効です。
ヒアリング、テストマーケティングを仔細に行うことで参入する業界の構造やお金の流れ、市場規模等様々な情報を正確に得られます。その業界で事業を展開するか否かの最終的な判断を下すことが可能となり、結果が思わしくない場合にはいち早く「撤退」の判断をすることも出来ます。
商品開発に自社のリソースを重点的に割く必要があり、営業やテストマーケティングに人員を配置できない場合には、営業代行を利用することも非常に良い選択となります。
営業代行は営業戦略立案からクロージング、テストマーケティングなど案件にあわせ、幅広く受注が可能です。成功報酬型・固定報酬型など案件に合わせ、最適な料金体系を選択出来るため、発注側のリスクが非常に小さいことも魅力の一つでしょう。
ベンチャー企業が営業で成功した事例
企業が営業代行を利用するメリットは「営業マンを固定費にせず、変動費化できること」「新規事業立ち上げ時に、最小限の投資でプレ営業が可能になること」「不得意分野の営業をアウトソーシングできること」の三つに分けられます。
特にスタートアップにとっては、新規事業立ち上げ時にプレ営業を行うことのメリットは計り知れません。ティーシーコンサルティング 代表取締役社長の冨田賢氏はこのように語ります。
「営業代行を利用すれば、成果を出してから、正社員の営業マンを増員するといった対応を採ることも可能だ」(冨田氏)。
引用:営業代行は自社営業マンの代わりになるのか?5つのカテゴリ別にみた成功例・失敗例 http://www.sbbit.jp/article/cont1/29270
プレ営業を行うことで、顧客のニーズを正確に把握し、やがては世界的大企業に発展していった企業にマイクロソフトが挙げられます。
Microsoft創業者のビル・ゲイツは、まだ商品が何もない段階で『商品ができたから買ってくれないか』と鎌をかけて顧客のニーズを表面化させ、契約を取りました。彼が商品を作り始めたのは受注してからなのです。
引用:「起業直後にこそ営業力は必要」ベンチャー企業の生死を見てきた男が見出した、彼らを救う“蜘蛛の糸”とは http://type.jp/st/feature/786
Microsoftが世界的企業として、大きな影響力を発揮し続けている理由の一つは、顧客のニーズを表面化させる優れた営業力にあるのです。
スタートアップの鍵は営業
プロダクトに競争力が無く、知名度も無い創業初期は顧客を獲得するまでの道のりが長く、商品を使ってもらえないためにフィードバックも受け取れず、売上も伸びづらいという企業にとって難しい時期です。そうした時期に有効な最もシンプルな営業戦略は前職の繋がりをはじめとする個人的な人脈を活用することと、営業代行を使うことの二つです。
特に技術系スタートアップは、創業者も他の社員も営業経験がない場合が多く、セールスを断られやすい傾向にあります。効率的・効果的な営業の進め方が把握できていないだけでなく、営業に失敗した場合に自分たちの方法が適切であったか否かの判断を下すことが出来ず、顧客獲得までの時間・労力・金銭のコストが膨れ上がりやすいという特徴があります。
売上の安定化・顧客からのフィードーバックを活かした商品開発・商品品質の向上を実現するためには、まずは顧客を獲得し、信頼関係を構築する必要があります。スタートアップ企業にとって何より大切なのは、営業力であると言っても過言ではないでしょう。
最後に
競合製品やサービスが多いマーケットでは、商品を単純に紹介したり、プロモーションするだけでは売れないため積極的な提案営業が必要です。
またスタートアップの場合は、創業当初は顧客がおらず、商品自体の競争力もないため、企業にとっては難しい時期です。ベンチャーにとって重要な事は、ユーザーニーズを汲み取り、商品開発に反映させ、商品力を高めることです。
その際に重要性が浮き彫りとなるのが、入念なヒアリングやテストマーケティングです。特に前者では、顧客との信頼関係が重要でしょう。
スタートアップでは社員だけでなく、CEOも「作りたいものを作る」という幻想にとらわれがちです。また技術系スタートアップでは創業者も社員も営業経験がない場合が少なくありません。そうした場合には、営業代行に営業戦略立案からクロージング、テストマーケティングなど必要な工程をアウトソーシングすることが有効です。営業代行を使うことで、営業を変動費化出来る他、新規事業のプレ営業なども可能となります。