現在企業の営業活動を支援するための様々なマーケティングツールが出回っています。比較サイトをちょっと見て回っても数百ものツールが紹介されているのに気が付くでしょう。そのように多種多様なツールが存在する中で、自社の目的に適った選定ができるのか、効果は得られるのか心配になってしまいます。今回はマーケティングツールの導入について、目的、メリット、選び方、コスト効果などを詳しくまとめてご紹介します。
目次
マーケティングツールとは
アメリカのマーケティング市場は日本の数年先を進んでいると言われています。Oracle EloquaやMarketoなどマーケティングオートメーション(MA)と云われる最先端のマーケティングツールが続々と日本へも進出してきています。マーケティング先進国で開発され普及しているツールと聞くと非常に便利そうに思えます。一例としてOracle Eloquaは次のようなソリューションを提供するとサイトで説明しています。
営業部門が効率的な営業活動を行うには、的確な顧客情報が不可欠です。そのため、多くの企業がマーケティング活動に注力し、これまで多大な時間と労力をかけてきました。"Oracle Eloqua"は、マーケティングにおける煩雑な作業を自動で行うマーケティング・オートメーションシステムです。すなわち、企業が販促活動を通じて獲得した多数のリードから、有望な見込み顧客を自動的に絞り込み、的確な情報として営業部門に提供するまでのマーケティング活動の自動化を可能とするのです。
引用:Eloquaを用いたマーケティング・オートメーションのアプローチ
このツールがメリットとして掲げるように、効率的な営業活動でビジネスチャンスを最大限にできれば「売上向上」に繋がりますし、多くの作業を自動化することにより「コスト削減」も実現できます。
ツール導入でメリットが得られた事例
Web解析のコストと作業負担の軽減に成功したベネッセ
「教育」「生活」「シニア/介護」「語学/グローバル人材教育」の4つの分野で事業を展開する株式会社ベネッセコーポレーションは「Adobe Marketing Cloud」のアプリケーションのうちWebアクセス解析ツールである「Adobe Analytics」を導入しました。Adobe Analyticsは変数の拡張性に優れ、メルマガ登録のデータのみを解析したり、個々の広告効果測定を詳細に分析したりできます。ベネッセは運営サイト数が200サイト以上と膨大なため、個別にアクセス解析を行ってレポーティングする作業に多大なコストと時間を費やしていました。Adobe Analyticsの導入後はグループの全サイトを横断して、一元的に顧客データの解析が可能になり、レポーティングのコストと作業負荷が大幅に軽減しました。
インバウンドマーケティングで成果を出せたKaizen Platform
Kaizen Platformは日本で初めてマーケティングオートメーションツールMarketoを導入しました。その結果「インバウンドからの受注ゼロ」から、わずか半年の間にインバウンドからの受注は激増し、最も重要な商談のソースになったとのことです。
Kaizen Platformでは当初営業担当がプロダクトのコンセプトや導入のメリットを1社ずつに説明して回るアウトバウンド型のアプローチで受注していました。Marketoを導入した後は顧客と市場の全体像を把握し、Webサイトアクセスをトラッキングするスクリプトの埋め込みと、基本的なスコアリングの設定を行いました。そしてWebページをしっかりと作り込んで、バランスよくコンテンツを載せていくことでインバウンドの数が急増していったとのことです。
SalesforceのSFA導入で営業の効率化を達成したアップウィッシュ
愛知県で総合的に不動産業を展開するアップウィッシュ株式会社は、業績拡大に伴い案件管理と営業マンの離職率の高さに悩んでいました。その後ソリューションとして営業活動を支援する「Salesforce SFA」を導入することにしました。
Salesforce SFAでは案件管理をベースに、商談内容や営業マンの活動記録を蓄積・分析することで課題や問題点を把握します。営業マンがどこでつまずいたのか分析できるので、新人のマネジメントが容易になりました。それまで高かった離職率が減少し、SFA導入から3年目にはゼロになったとのことです。また案件の進捗が可視化され、次に取るべき行動が明確になったそうです。
そもそも何のために導入されるのか
”売上向上”もしくは”コスト削減”が目的
上の事例で説明したように、ツールを導入した企業は最初に様々な課題を抱えていて、それを解決するためのソリューションとしてマーケティング ツールを活用しています。つまり導入の検討が始まるのは、自社の抱える課題を解決できるようにしたいということからです。ここでマーケティングツールの導入検討プロセスを説明してみたいと思います。
上記フローのように、マーケティング ツールの理想の導入検討プロセスではまず自社の課題を明らかにした上でソリューションを探し、マーケティングツールの検討に入るという形です。事例であげた3社も「レポーティング業務を効率化したい」「リードを創出し問い合わせを上げたい」「離職率が高くて大変だ」という課題に対して、それを解決してくれるソリューションを探し、ツールを的確に検討したからこそ、ツールによって解決できるメリットを得られました。
導入には自社の課題を明らかにしたうえできちんと検討するという形が取れればベストですが、実際は検討するプロセスをすっとばして、自社の現状にそぐわないものを入れてしまったり、課題の洗い出しをしていないのにマーケティングセミナーで紹介されていてなんとなくそれがよさそうだからという理由で導入してしまったりということもあります。そうなるとせっかく導入しても成果をだせずに失敗することも増えてしまいます。ツールを導入する目的は総括すると”売上向上”もしくは”コスト削減”であり、それが達成できないと導入する意味がありません。
ツールを導入する際のポイント
ゴールを明確にする
ツールを導入する目的は”売上向上”もしくは”コスト削減”であると説明しましたが、もう少し詳しく説明すると、ツールを導入することにより、私たちは時間とお金を投入して事業成長に転換する効率をあげているわけです。転換効率が上がるということは、同じ時間と同じ費用をかけた際に得られる売上やユーザーが増えるということになります。
ツールを導入するポイントとしては転換効率を少しでも上げるということですので、”売上向上”と”コスト削減”のどちらをツール導入のゴールにするのか明確にします。可視化して、売上向上を計るのか、分析してコスト削減したいのかどちらをゴールにするのかをきちんと設定しておくことで、ツール導入の際の投資決裁、導入後のステップや進め方、投資回収の精度が大きく変わってきます。
導入コストと効果を把握する
ツールを導入する際はコストを把握して費用対効果をだせるようにする必要があります。
この図のようにコストをかけてツールを導入するならば、その運用によってコストを上回るリターンをあげなければいけません。もしも導入コストが効果以上になると本末転倒になってしまいます。ツールを導入することでかかるコストをきちんと把握することはとても大切なことです。
注意したいのはマーケティングツールを導入するにはツールの利用料だけではなく、ツールを運用していくためにかかる間接的なコストがかかることです。ツールが使いこなせず、オペレーションを学んだり、実際にタグを埋め込んでいったりするような内部コストもバカになりません。使いやすく、運用に際して人的リソースを最小限に抑えられるようなツールを選定することで、トータルの費用に大きな違いが出てくるでしょう。
最後に
マーケティングツールはきちんと自社の目的にあったものを選び使いこなせれば、”売上向上”と”コスト削減”という大きなメリットをもたらしてくれます。きちんと効果をだし恩恵が得られるように、自社の目標や戦略に合わせて慎重に検討してみてください。
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