営業効率改善、営業力強化のためには「プロセス設計」が非常に重要となってきます。しかし営業プロセスを綿密に設計し、フロー化している企業はまだ少ないのが現状です。管理者も売り上げや利益といった結果管理に終始し、受注成約率を高める基盤を構築する「営業プロセス設計」を軽んじてしまっています。そこで今回はプロセス設計がなぜ大事なのか、プロセス設計とは何か詳しく解説していきます。

設計のない営業の問題点

営業プロセスとは、営業力強化のために会社が設計する組織的フローです。適切な営業プロセスを構築していない場合、以下のような問題点が浮上してきます。

①自己流の活動が主体で営業活動が組織的に機能せず全体の成果があがりにくい

②統一されたマニュアルや設計がないため組織内の人材の育成がされにくい

③結果論重視で目標未達の場合でも原因がわからず問題が改善されない

①の場合、経験と勘頼りの個人の力量や感覚での営業が横行します。営業の成果が個人の能力に左右され、組織的に結果をだすことが難しくなります。またその場合、②のように人材育成の問題を生み出します。できる営業マンがいる間はいいですが、その人が去った後はどうなってしまうのでしょうか。新人や経験の浅い営業マンが即戦力とならないためいつまでも戦力となる人材が育成できません。そして③ではなぜ上手くいったか、なぜダメだったのかがプロセスにおいて評価されないため、論理的にフィードバックがなされず成果があがらなくても改善のない営業手法のまま売り上げも利益も伸びないループを生み出してしまいます。

結果管理主義ではなくプロセス重視へシフトする

結果管理主義は売上目標、利益目標、訪問回数目標、新規開拓件数目標などの「数値の管理」のみをしていれば問題ないと考える姿勢です。対してプロセス重視のマネージメントでは、活動をプロセス化して管理することで社員の意識や行動を変化させて、望ましい成果を出していきます。

一例として重要なプロセス指標のひとつに「受注成約率」があります。受注成約率は

受注成約率 = 受注件数÷見積件数

で計算できます。ここで重要なのは成約率の数字の管理ではなく、受注成約をあげるために組織として営業活動をマネージメントすることです。受注成約までの活動は商談をして契約を結ぶまでの段階ですが、この活動段階において明確な目標とプロセスを設計します。次の項で具体的な設計フロー及びポイントを挙げてみます。

 

営業プロセスのフロー

一般的に法人営業のプロセスは次のようなフローを踏むことになります。

顧客コンタクト → 訪問 → 課題ヒアリング → 提案 → 受注

このフローに応じて的確に目標を持ち営業設計を立てていきます。

 

ターゲットとする顧客の心理過程を把握する

消費者の購買決定プロセスを説明するモデルの一つに「AIDMA(アイドマ)」があります。アメリカのローランドホールによって提唱された購買までの消費者の心理的プロセス・モデルであり、attention,interest,desire,memory,actionの頭文字をとったマーケティングの法則です。

ターゲットとなる購買者が自社の商品・サービスに注目(Attention)して興味をもち(Interest )、欲しいと思うようになり(Desire)、記憶して(Memory)、最終的に購買行動に至る(Action)までの心理的プロセスを理解した営業プロセスを設計することが重要です。

顧客の心理状態(AIDMA)を5つ営業のプロセスに当てはめた場合、次のような行動目標をとることになります。

プロセス                                 AIDMA 行動目標
顧客コンタクト 注目(Attention) 認知度の向上
訪問 興味(Interest ) 製品に対する評価育成
課題ヒアリング 欲求(Desire) ニーズ喚起への行動
提案 記憶(Memory) 記憶の呼び起こし
受注 購買行動(Action)

 

ヒアリングの重要性

顧客コンタクト → 訪問 → 課題アリング → 提案 → 受注といったフローで、一番重要となるのはどの部分でしょうか。多くの営業マンは「提案」に力をいれていると思います。しかし多くの営業部門が売り込みやプレゼンテーションを積極的に行っても成果に結びつかないといった課題を抱えています。

実は軽視されがちですが、行動プロセスで一番重要なのは「課題ヒアリング」です。顧客が何を求め、何を欲しているのかを把握することが受注成約率の土台となります。SNSやネットの普及している現在、「提案、説明」といったプロセスは、HPや会社案内、資料請求等で情報提供できるようしておけば、顧客側でフィルタリングし情報集を行ってくれるケースが多いといえます。興味を持ってくれない対象にこちらからやみくもな提案、売り込み、プレゼンテーションを一方的に試みてもあまり成果のあがらないのが現状です。

ニーズ喚起への行動を促す「課題ヒアリング」において、徹底的に聞くという姿勢で商談に臨むよう意識してみてください。

なぜ営業プロセス設計が重要なのか

なぜ営業プロセス設計が重要なのかというと、プロセス設計を行わない営業の問題点3つで述べたような問題を改善できるからに他なりません。メリット面からもう一度まとめなおしてみます。

 

成功率が高まる

プロセスに適した行動、目標を取ることで「なぜだかわからないけど成功した」というような曖昧な成功例ではなく、設計に基づいた売り上げ目標の達成、受注率のアップといった結果を出せるようになります。原因と結果が分かっているので成功率が高まるのです。また営業をプロセスごとに分解し、各プロセスをチームで担当して連携する等、組織的な行動成果が効率よく出せるようになります。

ノウハウ化することですべて優秀な営業マンを育成できる

営業する人間の資質や経験といった属人的な要素に左右されることなく、人材を育成していくことが可能になります。お客様の信頼を得るにはどうしたらいいのかといった個人の資質的な部分も、プロセスを設計してノウハウとして教育することで、信頼を得るために必要な行動を的確に起こしていけます。

失敗が減少する

失敗した時につまずいたプロセスを検証することで次の失敗を減らすことができます。なぜ上手くいかなかったかという問題の洗い出しはプロセスに分解することで初めて可能になります。

 

設計プロセスを用いたことによる成功事例

トヨタ生産方式(TPS)

国内でこの10年で売上高が急増したトップ500社の1位は、世界的企業でもあるトヨタです。2015年3月期の売上高は27.2兆円で、10年前と比較すると8.6兆円の増加となり、47%もの増加率となります。なぜトヨタがこれだけの躍進をとげたか分析すると、トヨタは「トヨタ生産方式(TPS)と呼ばれる厳格にプロセス化された生産管理システムを持っていることがあげられます。

TPSは品質や効率性を改善して収益向上に結びつけるために設計されたシステムですが、多くの企業がTPSを取り入れて同じように収益化を図る結果を出しています。例えばTPSを導入した第一屋製パンの例が次のように紹介されています。

“TPSの導入は生産現場にとどまらず、営業本部でもプレゼン資料の標準化や訪問ルートの効率化が進むなど、全社的な導入が図られています。また、直接的な効果だけでなく、従業員の意識改革が次々と波及していくことにより企業体質までも商品企画・商品開発なども活性化することで第一屋製パンは22年ぶりに黒字化が実現できました。”

引用:http://www.toyota-tsusho.com/about/project/06/

 

この事例は業種や職種が違っても同じ設計プロセスを用いれば問題の改善と効率化と収益化を計れるということ、設計により意識改革を引き起こし全社に影響を波及させて行動を変えさせることが可能であることを示しています。

またトヨタの経営方式は「多品種少量生産」を追求しています。これは多様化する顧客ニーズに応えるためで、前述のAIDMAに当てはめると顧客の欲求(Desire)に対してニーズ喚起への行動を的確に取っています。TPS自体はどこまでも「消費者を第一」に考える、マーケット・インの思想によって貫かれたシステムです。消費者のニーズを満たしながら同時に利益を生み出すシステムを設計したことが、これだけの成長を生み出した成功事例といえます。

 

最後に

業務全体をプロセス化し、「どのプロセスが成果を妨げる要因となっているのか?」を分析し、ネックを解消する鍵を見極めることが業績マネージメントでは重要になってきます。営業においても適切なプロセス設計によって、営業活動の業務改善と効率向上を行い、営業力を向上させましょう。

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