リードスコアリングとは?スコアリングの手法を事例をもとに紹介

セミナーやイベントの開催、資料のダウンロード、問い合わせなどから収集したリストを「どう活用していったらいいのか?」と頭を抱えている営業担当も多いかと思います。とりあえずリスト全部にアプローチをかけてみたり、このリストはよさそうだと勘で当たりをつけたりしてしまう人もいますが、そのようなやり方では成果が出せないのではないでしょうか?せっかくのリストを有効に活用し、成果の高い見込み客を抽出する方法が「リードスコアリング」です。

今回はリードスコアリングの手法について事例をもとに紹介し、利用する際のポイントをまとめて解説します。

リードスコアリングの目的

リードスコアリングは、リード(見込み顧客)の購買意欲を評価(スコア化)することです。リードスコアリングは次のような目的のために実施していきます。

ホットリードを効率的に抽出

「スコアが○○点以上ならアプローチをかける」をいうように、きちんと定義されていることで無駄なアプローチが減ります。もしリードスコアリングによって数値化されなければ、適当な勘による当たりで精度にばらつきが生じます。リードスコアリングは膨大なリストの中から今アプローチをかけるべき「ホットリード」を効率的に抽出します。

営業とマーケティングの連携強化

営業とマーケティングがリードスコアリングでホットリードの定義を共有することにより、各部署の連携が強化され効率の良い営業活動が実現します。

リストの有効活用

リードスコアリングの目的は単に「ホットリード」を抽出するだけではありません。スコアの低い「コールドリード」も将来的な購買層として育てるための大事なリストとして活用できます。セミナーやキャンペーンなどで取集したリストのうち7~9割は現時点で購買意欲のないコールドリードの場合がほとんどです。そのリストを切り捨ててしまっては、せっかく収集したリストのほとんどが無駄になってしまいます。そのようなコールドリードも「リードナーチャリング」という手法で有望な顧客へと育成し、リストを有効活用していくようにします。

リードナーチャリングとは

獲得したリードを自社にとって有益な見込み客へと育て上げていく手法が「リードナーチャリング」です。リードナーチャリングを行うことで、顧客のロイヤリティが得られ収益が継続的にアップしたり、企業のブランドイメージを高めたりすることができます。

リードスコアリングの方法

リードスコアリングを実施することで、スコアの高い(=購買意欲の高い)方にアプローチを優先的にかけていくことが可能です。実施にはいくつかのポイントがあります。

①何にスコアをつけていくのか

リードスコアリングでは次の3つの項目についてスコアリング(点数の加点・減点)を行っていきます。

・アトリビュート(属性)

アトリビュート(属性)とは、担当者の役職・企業規模・競合する商品・サービスの利用状況・地域・部門などを指します。課長なのか部長なのかでスコアに違いをだすなどして差別化していきます。

・インタレスト(興味)

インタレスト(興味)ではリードがどれだけ自社サービスや製品に対して興味を持っているかをスコアリングします。顧客が自社商品・サービスにどの程度興味を持ってくれているかは、展示会・セミナーへの参加やウェビナーの視聴といった顧客の行動履歴から集計することが可能です。

・アクティビティ(活性度)

アクティビティ(活性度)はリードがいつその行動をとったのかを見ていきます。例えばウェブサイトへのアクセスが14日前、資料のダウンロードは10日前というような頻度をみます。数か月前に頻繁に行動していた顧客は、既に他社商品・サービスを購入してしまっている可能性が高いですし、ここ数週間にアクティビティが高い場合はすぐにでもアプローチをかけたほうがいいという判断につながります。

②どういった場合に加点・減点するのか

 加点する場合の例:

 ・セミナーに参加した

わざわざ会場にきてセミナーに参加するユーザーはかなり自社の商品やサービスに興味・ニーズを持っているといえます。セミナー当日には案件化に結びつかなかったとしても、加点対象になります。

・ウェブサイトにアクセスした

現在はユーザーが自分のニーズを満たすような製品を自分で探し、比較して自社サイトを訪問することもよくあります。もし1度だけではなく2度、3度と訪れてくれているなら相当関心が深いとみて加点の対象になります。ユーザーの行動を解析するには、ウェブトラッキングやアクセス解析を行うことが必要です。

・資料請求をした

資料請求は単なるウェブサイトへの訪問に比べると、よりコンバージョンに近い行動とみることができ加点の対象になります。

減点する場合の例:

アクティビティ(活性度)の項目で、リードが行動を起こした日から時間が経過してしまっている場合は減点対象とします。アトリビュートやインタレストの項目が高くても、そこだけを単純に比較しても正確なスコアリングはできません。マーケティングではリードの購買意欲は直近のアクティビティから3日後には減少すると言われています。A社とB社でそれぞれ問い合わせや資料のダウンロードなどのスコアで総合点がA社の方が高かったとしても、アクティビティがB社の方が短いなら、A社からその分減点し、スコアを見比べる必要があります。

③リードスコアリングを利用する際の注意点

表面上のスコアだけで評価しない

リードスコアリングはMA(マーケティングオートメーション)などのツールと組み合わせて機械的に加点・減点を行っていくことも多いです。しかしそうした機械的なスコアリングは、表面上のスコアだけでは読みとれないニーズといったものを見逃すこともあります。特にリードスコアリングを行う3つの項目で述べたアトリビュート(属性)は静的なものなので数値化しやすいですが、2つ目と3つ目のインタレスト(興味)やアクティビティ(活性度)といった項目は、顧客の行動が関わってくる動的なものなので数値化が難しい部分です。スコアリングを設計するにあたって、リードが実際にはどのような行動を経て成約に至るのか、といった顧客の行動全体について、できるだけ詳細な仮説をたてて見ていく必要があります。

PDCAサイクルを回す

これはどのビジネス上のプロセスにおいても重要なことですが、実施しているプロセスの評価、検証、最適化が常に必要です。そもそも「高いスコア」や「低いスコア」という設定がずれていたら正しい結果は導かれません。資料請求は10点で、問い合わせは5点と設定していても、検証によってこの数値を逆にする必要性がでてくる場合もあるのです。当初の設計通りに正確なスコアリングが出てこないなら、速やかに原因を探り修正を行っていかなければいけません。

リードスコアリングの実践例

「他社製品との比較をした」ユーザーを高スコアリングで活用したSATORI

マーケティングオートメーション ツール SATORIを販売するSATORI株式会社は、顧客の購買プロセスを分析して、営業をかけるべき最適なタイミングを次のように仮定しました。

お客様にとって、「営業を呼びたい/営業からの情報が必要なタイミング」は、「比較・検討」つまり「ベンダーリストアップ/ショートリスティング」のタイミングということになります

引用:https://satori.marketing/marketing-blog/marketing-automation/best-practice-of-lead-scoring/

そこでウェブサイトのグローバルメニューに「他社との比較」というメニューを設け、そのページで顧客が「比較・検討」に必要なコンテンツ(キラーコンテンツ)を閲覧できるようにしました。そしてこのコンテンツを閲覧した顧客に高得点を与えるリードスコアリングを実施しました。

その結果「キラーコンテンツ」を閲覧した顧客の方が約8.5倍の「商談化率」を実現したと説明しています。購買プロセスを想像し、営業現場の声を反映させることで、こうした有効なスコアリングが可能となるコンテンツを生み出すことに成功したそうです。SATORIの事例のように、競合他社の商品やサービスを比較する顧客を高スコアリングする方法は、他の業種でも応用できそうです。

最後に

リードスコアリングを適切に行うことで、成約率につながる顧客のあぶりだしと効率的な営業が可能になります。ここで解説したポイントを踏まえて成果の高い営業活動を実践してみてください。

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