マーケティング戦略の基礎であるSTP分析は、アメリカでは「7P」に次いでポピュラーな分析手法で、企業や製品・サービスの内容や価格を決めていくうえで必要なフレームワークです。多くの企業がSTP分析を軸にして差別化や広告戦略を考えています。この記事ではSTP分析について詳しく取り上げ、事例をもとに具体的な分析方法などを紹介していきます。

 

STP分析とは

STP分析とは、Segmentation(市場細分化)Targeting(ターゲット層の抽出)Positioning(ポジショニング)の3つの頭文字をとった分析手法のことです。ターゲットの絞り込みと自社のポジショニングの設定をし、どの市場で、どのような価値を提供していくか決めます。

  • Segmentation(セグメンテーション)

市場を細分化し標的市場を決定する

  • Targeting(ターゲティング)

ターゲット層を抽出する

  • Positioning(ポジショニング)

自社の立ち位置を明確化し競争優位性を設定する

マーケティング2.0と顧客セグメンテーション

STP分析の起こりはアルフレッド・スローンの提唱した「顧客セグメンテーション」と言われています。スローンは1923年~1937年の14年間に渡ってGM(ゼネラルモーターズ)社の社長に就任し、フォード社を抜いてGMを業界トップに導きました。所得階級によって車へのニーズが異なることを分析したスローンは、セグメンテーションを活用して顧客ニーズに応じた「多品車種量産」の生産スタイルをとり、単一車種量産スタイルのフォードに打ち勝ったのです。

その後、セグメンテーション、ターゲティングはウェンデル・スミス、ポジショニングはアル・ライズとジャック・トラウトが概念を提唱し、マーケティング論の権威者であるフィリップ・コトラーがSTP分析をマーケティング理論として確立させました。コトラーはマーケティング論を総括した自著『コトラーのマーケティング・マネジメント ミレニアム版』(2001年、ピアソン・エデュケーション)でマーケティングとは「ニーズに応えて利益を上げること」と定義しています。STP分析は製品・商品を中心に据える「マス・マーケティング」(マーケティング1.0)から進化した「顧客志向のマーケティング」(マーケティング2.0)のための手法です。スローンが実践した「市場の細分化」と「製品の差別化」はSTP分析の走りであり、今でもなおマーケティングの基本戦略として重要性は変わっていません。

 

STP分析の手法

S:Segmentation(セグメンテーション)

セグメンテーションではコンセプトを明確にしていくために市場を細分化していきます。市場は消費財市場と生産財市場に分類されますが、それぞれ4つの変数を基にセグメントしていきます。

消費財市場

・人口動態変数(年齢、性別、家族構成、職業)

・地理変数学(地域、人口密度、住まい、文化、行動範囲)

・社会心理学的変数(ライフスタイル、価値観、パーソナリティ、購買動機)

・行動的変数(購買活動、購買心理、購買契機)

生産財市場

・人口(業種、規模)

・オペレーティング変数(使用頻度、顧客の能力)

・購買アプローチ変数(購買方針、購買意欲)

・状況要因変数(緊急性、受注量)
消費はどんどん多様化していますし、どこまで厳密にセグメント化できるのか、あるいはセグメント化すべきなのかという問題が生じます。市場細分化をする際は次のポイントに照らし合わせて正確な結果が導きだされるようにします。

・ターゲットサイズが適切か

・ポジショニングが、顧客に正確に伝わるか

・ポジショニングに、顧客が共感するか

・売り手である企業自体のポジショニング(企業理念、ポリシーなど)と、製品のポジショニングに整合性があるか

 

T:Targeting(ターゲティング)

細分化された市場を評価して、どのセグメントを自社のターゲットとするのか決定します。自社製品のコンセプトやブランドイメージ、価格帯にあった消費者のグループを選択していきます。セグメンテーションを行うことでおのずとターゲットグループが導かれていきます。標的となる市場をどの程度の範囲に設定するかを決定するのが次の「市場カバレッジ戦略」です。

1.無差別型マーケティング(フルカバレッジ)

市場セグメント間の違いを無視して、共通の製品・サービスを提供します。
全ての商品を全ての市場に投入するフルカバレッジは経営資源が豊富な大企業向けの戦略です。

2.差別型マーケティング

複数の市場セグメントを取り上げ、それぞれの市場セグメントに対して異なる製品・サービスを提供します。
(各自動車メーカーの小型車から大型車の生産販売など)

3.集中型マーケティング

1つもしくは少数の市場セグメントに注目し、そのセグメントに経営資源を集中していきます。
強力なブランドが確立されている製品を持つ企業は、その製品を武器に様々な市場に切り込 んでいくことが可能になります。

 

P:Positioning(ポジショニング)

ポジショニングでは決定したセグメントの中にある他社の競合製品・サービスとの自社の立ち位置を決めていきます。対象となる製品・サービスの特徴を表す属性から軸を決め、そこに自社の製品・サービスを位置づけ、競合他社製品、自社既存製品との違いを的確に示します。どの変数を使えば、自社製品・サービスが、他社よりも有利になるかを念頭に変数を選んでいきます。変数は市場のニーズに合わせて自由に設定しますが、基本的に1~4つまでに絞り込みます。
ポジショニングの手順:

1 商品・サービスカテゴリの設定

2 価値軸の創造

3 ポジショニングマップの作成

4 差別化を見つける

 

アパレル業界におけるポジショニングマップの例

 

引用: www.ogis-ri.co.jp

商品・サービスのポジショニングを2軸のマトリックスで可視化したポジショニングマップを作成することで、視覚的に自社と他社を区別化することができます。軸をはさんで対極にいる企業や製品とは、明確な差別化ができているといえます。競合他社よりも価値軸で上回っている、競合他社が創出していない価値軸で勝負できるものを見つけ出します。

 

STP分析の目的

STP分析を行う際にはセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの順番は問われません。市場を細分化し、細分化された市場の中で価値軸を見つけ、そして自社と他社を評価するといった流れの中で、価値軸と自社のポジションを先に決定してからターゲットを導きだしても構いません。STP分析では、見込客を大衆とせず対象を絞り込み細分化することで、そのニーズに当てはまる見込客に、自社の商品やサービスを届けることを目的とします。

自社製品に適した消費者グループを見つけ出す

自社の製品やサービスを最も必要とする消費者グループを見つけ出すことで、ニーズにマッチした顧客層へ効率よく営業をかけることができます。

自社製品の独自性、差別化のポイントを明確にする

業界内における自社製品の独自性、差別化のポイントを明確にすることで市場でのアドバンテージを築いていけます。STP分析は自社の製品やサービスの「独自性」や「強み」を掘り起こし、それを売り込むのに適した消費者グループを見つけ出していきます。最終的な目的は競争するビジネス環境の中で、自社の独自性や優位性を引き出せる最も有利なポジショニングを探し出すことです。

 

STP分析の事例

世界的規模のコーヒーチェーンであるスターバックスを例にSTP分析をみてみます。スターバックスは1995年に日本に初上陸し、3年後の1999年には100店舗へと拡大しています。

スターバックスのセグメンテーション分析例:

勤務エリア:大都市/地方主要都市/それ以外の都市部

社会的地位:役員/役職者/年収平均以上サラリーマン

職業:会社員/専門職/デザイナー等

このようなセグメンテーション分析を行い、ターゲットを設定し、ターゲットに焦点を合わせた戦略を取ることが成功要因に結びついています。

 

引用:「好きなカフェとそのイメージ」

スターバックスのイメージにはおしゃれ・高級感ある・居心地がよい・コーヒーがおいしいといったものが調査であげられていますが、このイメージがそのまま同社の強みになっています。庶民的(価格帯)の評価は低いですが、セグメンテーションで顧客の社会的、経済的地位に焦点をあて、平均収入以上の層をターゲットにしていることから、ターゲットにマッチしたコンセプトを提供することで独自のポジショニングを築くことに成功しました。

しかし近年カフェ業種における顧客満足度調査ではスターバックスは苦戦しています。市場は常に変化していますし、競合も研究を重ねています。STPを始めとする分析は常に行って、市場や顧客の変化に対応していく必要があります。

 

最後に

「顧客志向のマーケティング」が求められる時代においてSTP分析は欠かせないマーケティングの基本です。分析においては自社目線だけでなく、消費者目線で行うことも重要になってきます。そうした目線でターゲットの掘り起こしと、ターゲットが製品やサービスに求める要素を掘り下げていくことが成功に結びつきます。

 

 

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