マーケティング活動において、無形であるサービスを対象にしたサービスマーケティングの重要性が年々高まっています。今回はサービスマーケティングの概念と、実践するための基本的フレームワーク「7P」について、事例も一緒に紹介しながら、解説していきたいと思います。

 

サービスマーケティングの概要

4Pの唱えられた1960年代は自動車や家電などの有形財を対象に発展したマスマーケティングの時代でしたが、その後1970年代になると情報、金融、旅行業、飲食業など様々な分野で目には見えない「サービス商品(無形財)」を対象としたマーケティングへのニーズが湧きおこりました。マッカーシーの4Pに、フィリップ・コトラーがさらに3つのPの要素を付け加えたサービスマーケティングミックスが7Pと呼ばれるものです。サービスマーケティングとは、サービス業や製品の付随機能としてのサービスならではの特性を踏まえたマーケティング戦略を指します。

現在アメリカではサービス産業はGDPの8割にも達し、日本でも生産の約7割がサービス関係から生み出され、その重要性が増してきています。またサービスマーケティングとは単に「サービス業」という分野での活動を指すのではなく、あらゆる業種の顧客接点に当てはまります。例えば病院はサービス業ではありませんが、クリニックでも患者は顧客であり、顧客との接点を重視した営業活動を行うことが求められています。

 

サービスの特性

7Pを提唱したコトラーはサービスの特性を以下のように特徴づけました。

 無形性/非有形性
サービスは形がなく無形財である

 同時性/不可分性
サービスは生産と消費が同時に発生する

 非均一性/変動性
サービスは誰がいつ提供するかで品質を標準化することが困難である

 消滅性/非貯蔵性
サービスは蓄えることができない

 

無形性/非有形性:intangibility

サービスには形がないので購入前に触れたり味わったり実体として確認することができません。そのためサービスを可視化する必要性が求められます。例えばリフォーム業者が過去のサービス提供例や導入事例などをパンフレットやHP上で公開し目に見えるようにします。

 課題
サービスの有形性を高める

同時性/不可分性:simultaneity

不可分性では提供者と享受者の相互関係が重要になってくるので、品質やサービスを高め、消費者との信頼関係を築く必要性があります。また、サービスを提供する側と提供される側が同時に存在しなければならない同時性では距離的、人員的な問題の解決が求められます。マンツーマンのサービスではサービスを受けられる人が限られてしまいますが、塾ではグループレッスンや映像授業を取り入れたり、コンサルティング業ではセミナーを活用したり、多くの顧客に対応できる仕組みを作る必要があります。

 課題
提供者と享受者の相互関係の重要性を高める
・高い品質の提供
・信頼関係の構築

距離的、人員的な問題の解決
・一度に複数の消費者に対応する仕組み作り

 消滅性/非貯蔵性:perishability

サービスは貯蔵や保管が不可能です。例えばホテルの部屋やライブのチケットなどは持ち越すことができません。売れ残ってしまったら販売することができなくなるのです。そのため需要管理と供給管理が必要になってきます。例えばホテルの例でいえば、非ピーク時には割引による需要喚起を計ったり、ピーク時にパート社員を雇用し供給量を増やしたりするようにします。

課題
受給管理の徹底

異質性/変動性:heterogeneity

サービスは誰が提供するか、いつ提供するかによって品質が異なり、常に同じ品質で提供し続けることが困難です。美容院で美容師によって技量に差がでますし、飲食店でも調理者のコンディションで味に違いがでる場合もあるでしょう。それでも常に満足してもらえる質を保てるようにする必要があります。マニュアルの整備、業務フローの定型化やプロセスのマネジメントなどを取り入れていきます。

課題
常に一定の品質を保てるように管理する

 

7Pとは

それではコトラーの提唱した7Pを掘り下げてみていきましょう。7Pとは次の7つのPのことです。

 

4P

Product(商品・サービス)

Price(価格・プライシング)=価格戦略

Place(流通・チャネル)=流通戦略

Promotion(販促・プロモーション)=販促戦略

 

引用:https://i1.wp.com/onoff.rumix.biz/imagebox/marketing_mix.jpg

 

3P

Personnel(人・要員)

Process(業務プロセス・販売プロセス)

Physical Evidence(物的証拠)

 

引用:https://i0.wp.com/onoff.rumix.biz/imagebox/marketing_mix7p.jpg

これら7つの項目を総称してサービスマーケティングの7Pと言います。4Pについては既に前回詳しく説明しているので3Pについて解説します。

 

Personnel(人・要員)

Personnelは自社のビジネス環境において、従業員、関係者、協力会社等までを含めた顧客にサービスを提供する全ての要員を指します。顧客にとってサービスの提供者が自社の社員なのか協力会社の従業員かは関係ありません。どの人員においても自社の管理下において顧客に満足されるようなサービスを提供しなければいけません。

 Process(業務プロセス・販売プロセス)

Processとは顧客にサービスを提供する様々な方法を指します。ハイクオリティーなサービスを提供するためには、例えばカスタマーセンター等ではCRMの改善や効率化が求められますし、支払い方法の改善のためには販売プロセスを見直していく必要があります。

 Physical Evidence(物的証拠)

Physical Evidenceは平たくいえば安心・安全保障を顧客に提供することです。証明書や契約書だったり、食品の生産者を明記するトレーサビリティーだったりなど、顧客の不安を取り去って保障を可視化するようなサービスを提供します。

以上が7Pの要素となりますが、企業は収益を上げていくために7Pのどれを強化していくかを考えていく必要があります。こうした7Pのマーケティングミックスは実践する上で、順番は特に重要ではありませんが、それぞれのバランスや相乗効果、一貫性といったつながりを踏まえていく必要があります。目標を達成するために7Pの何と何を強化して組み合わせれば、競合他者との差別化が図れて優位性が築け、最大効果が得られるかを考案するためのフレームワークなのです。

 

7Pの活用事例

東京ディズニーリゾートのサービスマーケティング

近年はテーマパークや遊園地などのレジャー消費が好調で、消費者の消費行動が「物」から「サービス」へとシフトしています。その中で圧倒的な入場者数、売上高を誇るのが東京ディズニーリゾートです。2013年以降はコンスタントに3000万人以上の来場者がいます。約9割のリピート率を持ち、顧客満足度が高い東京ディズニーリゾートでは、次のような7Pを実践しています。

Product(商品・サービス)

「非日常的な経験」の提供を商品コンセプトに掲げ、ミッキーマウスをはじめとするオリジナルキャラクターがファンタジーとノスタルジーを提供しています。

 Price(価格)

オリエンタルランドは入場者数の増加に合わせ、2013年から3年連続でパスポートを値上げしてきました。入園者数の抑制とパークの混雑緩和や将来的なパークへの投資資金確保を理由にあげています。値上げをしても大台の3000万人は今のところ維持されていますが、値上げ前の入場者数の伸びと比較すると鈍化しているように見受けられます。実際2015年、2016年は2014年を下回っています。ディズニーは一人当たりの客単価をあげることで入場者数の減少をカバーする収益をあげていますが、値上げだけして質を落としては顧客離れを起こしてしまいます。現在ディズニーは大ヒット映画「アナと雪の女王」の新テーマゾーンを含む大型リニューアルを準備していますが、値上げ分で投資を行っています。

 Place(流通)

東京ディズニーリゾートの立地は日帰り可能な半径50km以内に3000万人以上の顧客層がいる理想的な条件にあります。開園にあたってどこで営業するのか「流通」を徹底的に精査しています。

 Promotion(プロモーション)

ディズニーは独特なプロモーション戦略をしいています。トレードマークであるミッキーマウスは「一人しかいない」というコンセプトのもとに、世界中のディズニーリゾートとあわせて可能な限り同時には存在しないように工夫しています。あくまで「ファンタジー」を提供するコンセプトを貫くプロモーション体制をしいて一貫性を持たせています。

 Personnel(人員)

ディズニーリゾートで働く従業員は「キャスト」と呼ばれ徹底した教育体制をしいています。キャストは基本1年契約でマンネリ化しないようにし、分業体制をとることで各自の役割を完璧にこなすようにしています。

 Process(サービスの提供プロセス)

ディズニーでは標準化したサービスではなく、顧客ごとにあわせたサービスが提供できるよう工夫を凝らしています。一例として、身長制限にかかってしまった子供には次回来園した際は待ち時間なしで乗り物に乗ることができるパスを発行しています。他にも障碍者、外国人など顧客の状態にあわせてより良いサービスが提供できるような体制をしいています。

 Physical Evidence(物的証拠)

施設のデザインや物の配置・色などの物的な要素にもコンセプトである非日常を演出するための工夫が凝らされています。例えば建物の比率をわざと変形させていたり、外部の現実世界を目にさせないため、商品や食材を運び込むトラックなどの輸送車は地下通路を通行させていたりなどの設計がされています。

 

まとめ

サービスマーケティングは多くの成功した企業のマーケティング活動にこうして取り入れられています。サービスは本来、差別化のための高い革新性を持ちます。特に価格競争では大手には勝てない中小企業にとって、サービスを起点とした経営革新はこれから成長するための重要な要素となり得ます。サービスとは何かを理解し、それを戦略的に活用できるようにしていきましょう。

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